記事が掲載されたので、公開します。

 

2016年12月16日、日本経済新聞社で行われたポン酢の品評会に出席させていただいた。
この品評の結果は、年明け1月の特集記事で掲載されるとのことだ。
思うところがあって品評会終了直後の思いを書きとめ、アップしました。

もともと今回の企画は「鍋に合うポン酢を品定めする」という趣旨であることを事前に聞いていたのだが、
いざ会場に行ってみると、で~んと木綿豆腐が1丁(笑)。(せめて絹こしにしてくれ)

私のポン酢評価の基準は「鍋にどれだけ合うか」であり、今回の企画も「鍋に合うポン酢として評価する」との事だったので参加したが
フタをあければ、冷奴をアテに30種のポン酢をチビチビと味わって評価するという会になっていた。

 

唖然としていても仕方が無いので関係者の方々に挨拶し、
最初にとりあえず30種のポン酢をそのまま小サジですくって舐めて、
自分なりの基準である「しょうゆ系、柑橘系、ダシ系」と分けてみたが
しかし、ポン酢はサジで舐めるという使い方をするものではない。

つぎに、豆腐を小さく削って30種のポン酢それぞれを味わってみた。
なるほど、最初の直舐めとは印象が違うポン酢もある。

3周目、PETボトルの水で少し薄めて30種を飲んでみた。
ここでダシ味の差が出てくる。
しかし、鍋の「お湯」で薄めるのと冷たい水で薄めるのとでは、ぜんぜん違う。
お湯で薄めた場合はもっと、醸造酢のエグ味がモワっと醸されるものがあるが、水では判らん。

 

これを書いている時点では、まだ新聞の記事は目にしていないが結局のところ、水で薄めて飲めるもの=柑橘系が強い、少し甘くてジューシーなものということで
枯木ポン酢や馬路村の「ゆずの村」などが高評価になるのであろう。
しかし私の感覚からすると、それらは鍋で薄まると「柑橘系の酸っぱい出し汁」のようになってしまうのである。
鍋で使いやすいのは、づぼらやの物や、その他の(今回は低評価であろう)「醤油が強め」なものだと思う。

 

全部で30種類・・・まあよく集めたものだと感心はするが、記事に載らなかったメーカーさんはどう思うのだろう?

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2017年1月14日(土)
本日の日経新聞朝刊の別冊の1面に今回の記事が掲載された。
まあ当然ながら「鍋に合うポン酢」というテーマに基づいて書かれている。
しかし、前述のごとく、評価会には鍋は無く「冷奴に合うポン酢」の品評会であったのだから
今回の記事には信憑性などまったく無いだろう。

「冷奴で、鍋を想像して味見する」という能力を求められていたのなら、少なくとも私にはムリです、はい。

記事を見たところ、やはり1位は「ゆずの村」だ。
他のポン酢への評価では「キャベツの千切りに合う」とか「お造りや焼肉にも合う」とか言ってる評価者がいるが
おいおい、鍋に合うかどうかの評価じゃないのか?

という事で「鍋に合うポン酢」というテーマでの企画なのだから、鍋で味わうのでなければ
正しいゴールへ向かうことは無いし、消費者の役にも立たない。
当ページの「メディア関係の方へ」にも書いてあるが、当方へ持ち込まれる企画のレベルは年々下がっている感じがする。
もっと非の打ち所の無い企画を持ってきていただきたいものである。

もう一度書くが「鍋に合うポン酢の品評会」と言うなら鍋で味見してこそ、正確かつ意味の有るものだ。
メディアの方々には、ポン酢製造者たちの意向や熱意と、我々の「ポン酢愛」をもっと大事に扱ってほしいと切に願う次第である。

そして、記事に掲載されなかったメーカーさんには、こんな企画の結果は貴社の情熱とはまったく関係の無いものなので、
気にせず、これからも旨いポン酢を作ってほしいとエールを送りたい。

2017年1月14日 ポン酢ガイド Nyappa

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